パニック障害の原因

不安・恐怖に関する脳の機能障害です

不安障害の原因は、まだ十分には解明されていません。
どんな病気もそうですが、「これだけ」というひとつの要因で起こるのではなく、生物学的(身体的)、心理的、および社会的要因がいろいろな度合いで関わっています。
不安障害も、かつては心理的要因(心因) が主な原因であると考えられてきましたが、今日では、脳内神経伝達物質系が関係する脳機能異常(身体的要因)が主な原因として有力になってきています。

身体的要因(脳機能の異常)

脳内の神経伝達物質(ノルアドレナリンやセロトニンなどの化学物質)のバランスが崩れ、情報伝達の機能が正しく働かなくなることで、パニック障害を引き起こすといわれています。
特に、大脳辺縁系にある扁桃体を中心とした「恐怖神経回路」の過活動があるとする有力な仮説があります。(厚生労働省 総合サイト みんなのメンタルヘルスより)
扁桃体で恐怖が引き起こされると、周辺の神経部位に興奮が伝えられて、動悸や過呼吸、手足のしびれなどのパニック症状を引き起こすと考えられています。この恐怖神経回路が過剰に活動することで、強い不安障害を発症するのです。

心理的要因(心因)

心理的要因といっても、「気が弱いから」とか「神経質だから」などという<性格>的なものではありません。パニック障害の発症と、患者さんの性格はあまり関係ないとされています。

パニック障害の発症直前に、強いストレスや、死別体験・喪失体験が認められる方が多いという報告があります。また明確なきっかけが認められなくても、オーバーワークや子育て、人間関係などでストレスを蓄積させていたケースも多く、脳機能の異常に、ストレスが重なって発症することも考えられます。

社会的要因

厚生労働省の総合サイト「みんなのメンタルヘルス」によれば、パニック障害・不安障害の心理的要因の背後には、社会的要因があるとしています。
時代や、国・地域の文化によって、ものごとの受け止め方や考え方が異なることが、社会的要因と考えられます。例としては、オーバーワークでも休めない環境や、家長への絶対服従を強いられる地域性なども、ストレスにつながる社会的要因といえるのではないでしょうか。

パニック障害について