うつ病の病院選び

うつ病を発症すると、抑うつ気分や無気力、疲労感や不安感・焦燥感、集中力の低下など心の状態に変調をきたすだけではなく、頭痛や腹痛、不眠、食欲低下などの身体症状も現れます。患者さんによっては体の不調がメインとなり、心の症状が隠れた「仮面うつ病」を発症し、うつ病と気づかないまま苦しむこともあります。

うつ病の方もパニック障害の患者さん同様、最初は身体的な不調と考えて、内科など他の診療科を受診される方が多くいらっしゃいます。自分をうつ病だと認めることを「甘えだ」と感じたり、病気でもないのに病院に行くことは「迷惑になる」と考えてしまうのがうつ病のひとつの特徴ではありますが、早期発見・早期治療が早期回復の鍵になります。がまんせずにメンタルクリニック(心療内科・神経科・精神科)を受診してください。

かかりつけの病院に紹介してもらう

心身症のために内科などに通院されていたら、その病院で心療内科やメンタルクリニックを紹介してもらうと良いでしょう。
インターネットで評判の良い病院を探す方法もありますが、同じドクターでも患者さんとの相性によって評価が大きく異なるものですので、口コミは参考程度にされた方が良いでしょう。

うつ病の治療実績がある病院に行く

うつ病は、適切な治療を行わなければ慢性化、重症化のリスクがある病気です。なるべく治療実績のある病院を選ぶ必要があります。
うつ病の治療を行っていないメンタルクリニックはまずないかと思いますが、心療内科・神経科・精神科を標榜していても、うつ病の治療実績が豊富であるということにはなりません。可能な限り、そのメンタルクリニックの治療について調べてみると良いでしょう。

治療実績を調べることは簡単ではありませんが、インターネットなどを使えば、そのメンタルクリニックがどのような治療方針で、どのような治療を行っているかを調べることができます。
「病院のホームページには良いことしか書かれていないので、参考にならない」としばしば言われますが、うつ病治療についてのしっかりとしたコンテンツを持っているメンタルクリニックであれば、治療にも力を入れているのではないでしょうか。

相性の合うドクターを選ぶ

大病院の有名なドクターであっても、あなたにとって良いドクターであるとは限りません。
うつ病もパニック障害同様、早い段階で継続的な治療を受けることが必要な病気ですが、ただ単純に薬を処方してもらえれば治るというわけにはいきません。
あなたの話をきちんと聞いてくれ、ひとつの治療法だけにこだわることなく、病気や治療についてしっかりと説明してくれるドクターが理想でしょう。

ただし、理想のドクターを探すことにこだわるあまり、何軒か回った上で一番良い病院を選ぶという方法はおすすめできません。病院によって診断が異なってかえって混乱を招くリスクの方が高くなり、治療開始時期を遅らせる原因にもなりますので、ご注意ください。

決められない時は、家族に選んでもらう

病院選びがストレスになるようでれば、家族に助けを求めましょう。
その病院が合わなければ、別の病院を探せば良いのです。せっかく選んでもらったのだから・・・と、合わない治療を長く受け続けることは逆効果です。

自分で「決められない」ことは、悪いことではありません。判断力が低下して、以前は決められていたことが決められなくなるのもうつ病の特徴のひとつです。決められなくて当たりまえ、と思ってかまわないのです。

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